キューブリック映画をトンデモ分析する≪ROOM237≫は必見です!
“どこまでがクリエーターが意図的に発信したメッセージで、どこからが自分の思い込みなのか?”
映画を観たときに私を悩ます永遠のテーマです。
いえ。映画に限りません。音楽だって、絵画だって・・・。
“映画のあのシーンで片隅に映っていたのって○○を意味してるんじゃない?”
そんな私の疑問と同じ質問を映画雑誌のライターさんが当該映画の監督にぶつける。
「あ・・・それは偶然映り込んだんですね・・・私も知りませんでした」と監督。
「そうなんですか・・・」
意気消沈するライターさんを見るに見兼ねて「・・・でも意識のどこかで必然性を認識していたからフレームのなかに入れたんでしょうね」
意識のどこかで・・・ってことは意図的に発信したメッセージじゃないけど、受けての勝手な思い込みでもないってこと?
そんなこと言われたら、フロイトかユングの墓掘り起こして分析してもらわにゃあ・・・
≪ROOM237≫は、クリエーターが意図的に発信したメッセージであれ、受け手の思い込みが生んだ妄想であれ、かまわず想像力をフル稼働して作品を分析するという、力技でねじ伏せるような痛快なドキュメンタリー映画です。
青森市≪シネマディクト≫で上映中
分析材料となる作品は、名匠スタンリー・キューブリックの作品のなかでも異色作といわれる≪シャイニング≫です。
≪シャイニング≫サウンドトラック盤のジャケット
“うわ・・・恐そうな映画・・・”って思った貴方、この映画相当恐いです。
映画史に残る名作≪2001年宇宙の旅≫を監督したことで、難解な哲学的作品を製作する映画監督というレッテルを貼られたキューブリック。
世間一般的にホラー映画は低俗とされ、まともに論じられる作品は少ないのですが、キューブリック監督作ともなると、
≪シャイニング≫はそこまで言うか、というくらいの深読みと持論が展開され、もう痛快、痛快。
≪ROOM237≫のパンフレット
登場人物の背景に映りこんでいる缶詰の商品名が意味する暗喩や、≪シャイニング≫最大の謎、“誰が、ジャック(ジャック・ニコルソン)を閉じ込めた食料庫の鍵を開けたのか?”を分析するあたりは「なるほどね~」と感心しちゃいます。
観客の性的欲求を刺激するために、所々にサブリミナル映像を入れていたというのは「ホントか~?」ってな感じ。
(≪エクソシスト≫や≪ファイト・クラブ≫では効果的にサブリミナル映像を使ってましたけど)
んで、何より驚いたのが、キューブリックは≪シャイニング≫のなかで“42”という数字に異常にこだわったというくだり。
“42”はナチスがユダヤ人の迫害を決めた1942年を表しており、キューブリックがこの映画の裏テーマとしていたのは≪ホロコースト≫だったと分析。そう言われて観直せば、確かに劇中に“42”という数字がやたらと顔を出します。
亡霊が現れるホテルのルームナンバーは“237”号室・・・2×3×7=・・・・ちょっとこじつけかな・・・
≪シャイニング≫といえば双子の亡霊です。
終いには、NASAのアポロ月面着陸映像のねつ造にキューブリックが関わっていたとか、トンデモ系のサブカル本や、さまざまな陰謀説なんかのセンセーショナルな話題が好きなひとにはたまらない分析まで飛び出し、極めつけは≪シャイニング≫の通常再生と逆再生のふたつの映像をオーバーラップさせて観賞したらどうなるか、という実験までしちゃいます。
観方によっては、キューブリックの作品を分析するにしては、ちょっと真面目さが足らないんじゃないかとか言われちゃいそうだけど、とかく映画の話題を他人とするときに熱を帯びてきちゃう、“どこまでがクリエーターが意図的に発信したメッセージで、どこからが自分の思い込みなのか?”という普遍的テーマの議論を、「映画なんてそこまで深く考えて観るほどのもんじゃないよ」と、人類の英知を軽々しく否定して終着させちゃうような人には「映画ってこんな風にも観れるんだよ」と押しつけたくなる(笑)ほどの怪(快)作でもありました。
なお、DVD版の≪シャイニング≫は、通常版(上映時間119分)のほかに、以前は完全版(上映時間143分)も販売されていました。
パッケージは通常版と変わりません。
裏面に≪無修正版≫と≪本編:143min≫の印字があります。
いまとなってはかなり入手は困難(廃版)ですが、≪ブ○ク・○フ≫とかでたまに見かけるときもありますから要チェックです。
映画を観たときに私を悩ます永遠のテーマです。
いえ。映画に限りません。音楽だって、絵画だって・・・。
“映画のあのシーンで片隅に映っていたのって○○を意味してるんじゃない?”
そんな私の疑問と同じ質問を映画雑誌のライターさんが当該映画の監督にぶつける。
「あ・・・それは偶然映り込んだんですね・・・私も知りませんでした」と監督。
「そうなんですか・・・」
意気消沈するライターさんを見るに見兼ねて「・・・でも意識のどこかで必然性を認識していたからフレームのなかに入れたんでしょうね」
意識のどこかで・・・ってことは意図的に発信したメッセージじゃないけど、受けての勝手な思い込みでもないってこと?
そんなこと言われたら、フロイトかユングの墓掘り起こして分析してもらわにゃあ・・・
≪ROOM237≫は、クリエーターが意図的に発信したメッセージであれ、受け手の思い込みが生んだ妄想であれ、かまわず想像力をフル稼働して作品を分析するという、力技でねじ伏せるような痛快なドキュメンタリー映画です。
青森市≪シネマディクト≫で上映中
分析材料となる作品は、名匠スタンリー・キューブリックの作品のなかでも異色作といわれる≪シャイニング≫です。
≪シャイニング≫サウンドトラック盤のジャケット
“うわ・・・恐そうな映画・・・”って思った貴方、この映画相当恐いです。
映画史に残る名作≪2001年宇宙の旅≫を監督したことで、難解な哲学的作品を製作する映画監督というレッテルを貼られたキューブリック。
世間一般的にホラー映画は低俗とされ、まともに論じられる作品は少ないのですが、キューブリック監督作ともなると、
≪シャイニング≫はそこまで言うか、というくらいの深読みと持論が展開され、もう痛快、痛快。
≪ROOM237≫のパンフレット
登場人物の背景に映りこんでいる缶詰の商品名が意味する暗喩や、≪シャイニング≫最大の謎、“誰が、ジャック(ジャック・ニコルソン)を閉じ込めた食料庫の鍵を開けたのか?”を分析するあたりは「なるほどね~」と感心しちゃいます。
観客の性的欲求を刺激するために、所々にサブリミナル映像を入れていたというのは「ホントか~?」ってな感じ。
(≪エクソシスト≫や≪ファイト・クラブ≫では効果的にサブリミナル映像を使ってましたけど)
んで、何より驚いたのが、キューブリックは≪シャイニング≫のなかで“42”という数字に異常にこだわったというくだり。
“42”はナチスがユダヤ人の迫害を決めた1942年を表しており、キューブリックがこの映画の裏テーマとしていたのは≪ホロコースト≫だったと分析。そう言われて観直せば、確かに劇中に“42”という数字がやたらと顔を出します。
亡霊が現れるホテルのルームナンバーは“237”号室・・・2×3×7=・・・・ちょっとこじつけかな・・・
≪シャイニング≫といえば双子の亡霊です。
終いには、NASAのアポロ月面着陸映像のねつ造にキューブリックが関わっていたとか、トンデモ系のサブカル本や、さまざまな陰謀説なんかのセンセーショナルな話題が好きなひとにはたまらない分析まで飛び出し、極めつけは≪シャイニング≫の通常再生と逆再生のふたつの映像をオーバーラップさせて観賞したらどうなるか、という実験までしちゃいます。
観方によっては、キューブリックの作品を分析するにしては、ちょっと真面目さが足らないんじゃないかとか言われちゃいそうだけど、とかく映画の話題を他人とするときに熱を帯びてきちゃう、“どこまでがクリエーターが意図的に発信したメッセージで、どこからが自分の思い込みなのか?”という普遍的テーマの議論を、「映画なんてそこまで深く考えて観るほどのもんじゃないよ」と、人類の英知を軽々しく否定して終着させちゃうような人には「映画ってこんな風にも観れるんだよ」と押しつけたくなる(笑)ほどの怪(快)作でもありました。
なお、DVD版の≪シャイニング≫は、通常版(上映時間119分)のほかに、以前は完全版(上映時間143分)も販売されていました。
パッケージは通常版と変わりません。
裏面に≪無修正版≫と≪本編:143min≫の印字があります。
いまとなってはかなり入手は困難(廃版)ですが、≪ブ○ク・○フ≫とかでたまに見かけるときもありますから要チェックです。
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