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ここ数日、≪封印作品≫、ドキュメンタリー≪八甲田山≫と、衝撃的な映画をとりあげてきました。
今日は、私がこれまで観た映画のなかで、少なからず心にダメージを受けた問題作を2作品紹介しましょう。

まずはこの作品。

≪パラダイス・ロスト≫
パラダイスロスト
この作品は≪ウエスト・メンフィス3事件≫を描いたドキュメンタリー映画です。

■≪ウエスト・メンフィス3事件≫の概要
1993年5月5日、3人の8歳男児が失踪、翌日3人の遺体がアメリカ、アーカンソー州ロビンフッドの丘で発見されました。
遺体は三人とも裸で、自身の靴ひもを用いて手首と踵とを結ばれていました。
どの遺体も皆虐待を受けていましたが、特にその中の一人が酷く、頭蓋骨は折れ、鼠径部に刺傷があり、陰部のダメージは目を覆うほどのものでした。
ほどなく犯人として3人の若者が逮捕されます。
犯人の内のひとりは、へヴィメタルロックバンド≪マリリン・マンソン≫を崇拝し、スティーヴン・キングのホラー小説を愛読する悪魔崇拝者。
裁判で有罪とされた彼らは重刑に処せられました・・・

一見、近年、日本でも時折発生する猟奇犯罪のドキュメンタリーです。
しかし、ドキュメンタリー映画製作のための取材を続けていくうちに、事件は予想もしなかった方向に・・・
どう考えても逮捕された3人の若者は無罪なのです。
狂信的なキリスト教信者が大半を占める小さな田舎町で、異質なサブカルチャーに傾倒する若者に対する偏見が加熱した結果に生まれた冤罪なのではないか・・・
そして取材中に怪しい言動を繰り返し、“実は真犯人は・・・”と疑念を膨らませざる得ないのは、最も酷い暴行の上に殺害された子どもの父親です。
日ごろから行っていたわが子への過剰な体罰、遺体についていた異様な歯並びの歯形、所持していたナイフに付着したわが子の血痕・・・
客観的に判断するに、犯人はこの父親に間違いないのですが、冤罪は再検証されることもなく、3人の若者は犯人として処罰されます・・・

本当に恐ろしいドキュメンタリー映画です。
取材を続けるうちに映画製作スタッフのなかに湧き上がる疑問や真実を追求しようとする熱意が圧倒的な緊迫感をもって伝わってくる、これまでに体験したことのない映画体験といえます。
DVDは≪パラダイス・ロスト≫と、その後の裁判の経緯などを記録した≪パラダイス・ロスト2≫の2作品を収録。

≪カティンの森≫
これもまた戦時下で発生した目を覆うような残虐な事件を、名作≪灰とダイヤモンド≫などの映画監督アンジェイ・ワイダが製作した作品です。
カティンの森
■≪カティンの森事件≫
1939年9月、ナチス・ドイツとソ連の両国によってポーランドは攻撃され、全土は占領下に置かれました。
武装解除されたポーランド軍人や民間人は両軍の捕虜になり、ソ連軍に降伏した将兵は強制収容所(ラーゲリ)へ送られます。
捕虜となったポーランド将校は、コジェルスク、スタロビエルスク、オスタシュコフの3つの収容所へ分けて入れられました。
その中の1つの収容所において、1940年の春から夏にかけて列車に乗せられ西へ向かった将校がそのまま消息不明となり、『将校は銃殺された』という噂が絶えませんでした。
独ソ戦の勃発後、この情報を耳にしたドイツ軍は、1943年2月27日、カティン近くの森「山羊ヶ丘」でポーランド人将校の遺体が埋められているのを発見、3月27日には再度調査を行い、ポーランド人将校の遺体が7つの穴に幾層にも渡って埋められているのを発見しました。
当初ソ連は、大量虐殺はドイツの仕業だとしましたが、後にゴルバチョフはソ連によるものと認め謝罪しています。

戦時下に起きた非情な事件を描いた映画ですが、正直私はこの映画を観たあと、しばらくは心のバランスを崩してしまいました。
悲運なポーランド将校とその家族や友人等の交流が描かれる映画前半部分も切ないのですが、ラストの捕虜の大量虐殺シーンには、悲しみを超越した恐怖をおぼえ、何度も目を背けました。

捕虜のポーランド将校は、恐らく環境が整備された収容所に移送されるのだろうと笑顔でソ連軍のトラックに乗り込みます。
到着したのは深い森の中のコンクリート造りの小さな建物。
トラックを下ろされた捕虜はその建物にひとつだけある鉄製の大きな扉を開けて中に入るようソ連兵に促されます。
不穏な気配を感じて入室を拒むが、力づくで建物の中へ・・・
中に入るなり、暗闇の背後から近づいたソ連兵が捕虜の後頭部を銃で撃ち抜きます。
鮮血に染まるコンクリートの床を他のソ連兵がデッキブラシで手際よく洗い流し、遺体は窓に取り付けられた滑り台に乗せられ、建物の陰に掘られた穴に放り出されます・・・
『死にたくない!』と懇願する捕虜は押さえつけられ、穴の前で頭を撃ち抜かれます。
それが幾度も、幾度も行われ、穴の中は死体が山積みになります・・・

重く分厚い鉄の扉の向こうで行われる、まるで獣の殺処分のように淡々とした非人道的な行為は、以前みた『悪魔のいけにえ』そのままで、よもや現実にこのようなことが行われていたとは・・・信じたくありません。

≪パラダイス・ロスト≫も≪カティンの森≫も決して、誰かに勧められる映画ではありません。
そこに描かれる人間のこころの闇が深く暗過ぎて、容易に受け入れられるものではありませんから。
ですが、どちらも実際に起きたことであり、目を背けることが許されないこともまた事実です。



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