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今回は小説の映画化作品について。
そう言えば、先日観た≪ジュラシックワールド 炎の王国≫も元はマイケル・クライトンのベストセラー小説。
思えば、1993年公開の≪ジュラシックパーク≫はホント衝撃的な映画でした。
太古の恐竜を現代に復活させるという荒唐無稽な物語を、遺伝子工学を駆使して実現するという説得力もさることながら、当時、まだ発展途上にあったコンピュータグラフィックで表現された恐竜のリアリティはホンモノと見間違うほど。
映画館で何度も感動の声を漏らしたのを憶えています。
その後、シリーズ化された本作は、3作品製作された後、タイトルを≪ジュラシックワールド≫と改名。
≪ジュラシックワールド 炎の王国≫は新シリーズの2作目となります。
恐竜に関する学説の更新をいち早くとり入れることで有名な本シリーズですが、≪ジュラシックワールド 炎の王国≫に登場する新恐竜インドミナス・レックスの後頭部には僅かながら羽毛のようなものが・・・
ジュラシックワールド 炎の王国
インドミナス・レックスの後頭部にそよぐ羽毛・・・

これは中国で発掘された肉食恐竜の化石に羽毛のようなものが認められたことによるものらしいですね。
でも、体毛フサフサのティラノサウルスって・・・・ちょっとイメージダウンです。

昭和の文豪、三島由紀夫がSF的アプローチによる人間描写に挑んだ異色小説≪美しい星≫もようやく映画化されましたね。
かつて、YMOの細野晴臣さんが「映画化したい」と公言していた本作の映画化を実現したのは、≪桐島、部活やめるってよ≫、≪紙の月≫を手がけた吉田大八監督。
美しい星
三島文学を愛するひとにしてみれば、満を持しての映画化ということなのですが、観賞後は何か複雑な気持ちにさせられる作品に仕上がっているのではないでしょうか。

小説≪美しい星≫は、“自分は宇宙人だ”と信じている家族の物語で、父親は火星人、母親は木星人、長男は水星人、長女は金星人であると信じているがために起きる社会との摩擦やさまざまな事件との関わりを通じて人間の本質、存在意義に肉迫する寓話的作品と言えます。
美しい星
正直、物語の展開そのものはとても分かりやすいのですが、内包するテーマが重厚かつ複雑で、とりわけクライマックスの“ディベート”対決の場面は、作者自身が抱いているであろう切実な人類への愛着と諦念が目まぐるしく入り乱れて圧巻!何度もページをめくる手を止め、前のページに戻ったりで、理解するのに苦労しました。
その点、映画化作品はとても分かりやすい。
その分、原作ファンには物足りなさもあるというわけです。
美しい星
私が最も気になったのは、原作で、主人公が人類滅亡にかかる深刻な危機意識を持つ対象が≪核兵器≫だったのに対して、映画化作品では、≪地球温暖化≫に改められていたこと。
“美しい星”である地球を崩壊し人類を滅亡に追い込むのは≪核兵器≫だからこそ、人類を根絶やしにする兵器を保有し、有事にはこれを使用せんとするエゴイズム、ひいては人間のあり方に鋭く言及するのが原作なんですが、映画化作品は≪地球温暖化≫に改めたがために、これら人間のあり方への問題提起が薄れたことは否めない・・・・・現に作中にも「温暖化は地球環境の周期によるものかも知れません」という台詞も出てきますし・・・・・人間が深く関わらずとも訪れる地球滅亡の危機を示唆する展開は、主人公が気が違ったとしか思えないほどに真摯な言動で人類への環境保護の重大さを訴えたところで「・・・そうは言っても、人間がどうこうできる問題じゃないんでしょ・・・」と白けさせちゃうだけだと思うんですけど。
やっぱり時代背景を考えるとやむを得ない改変だったんでしょうか。

ほかにも映画化版≪美しい星≫は、原作では自称≪木星人≫だった母親だけを宇宙人家族のなかで唯一マトモな≪地球人≫として描くことで、観客が抱く違和感や疑問の代弁者の役割を与えているほか、物語終盤、主人公と“ディベート”対決を繰り広げる羽黒助教授等論客3人組(この人たちも自称≪宇宙人≫!)の件も割愛されています。
原作では、“美しい星”に対する定義が相反する主人公とこの論客3人組が、「人類を救うべき」、「いや、人類は滅ぶべきだ」と延々数十ページにわたって論争を繰り広げるのです。
そしてその論争は、もし人類が滅んだとしたら主人公が捧げたいとする碑文で締めくくられます。

地球なる一惑星に住める 人間なる一種族ここに眠る。
彼らは嘘をつきっぱなしについた。
彼らは吉凶につけて花を飾った。
彼らはよく小鳥を飼った。
彼らは約束の時間にしばしば遅れた。
そして彼らはよく笑った。
ねがはくはとこしなへなる眠りの安らかならんことを。

素朴ながら何か胸を打つ碑文ですね。
いろいろと批判的な感想を述べてしまいましたが、小説の映画化にあたっては、いかに映像作品として成立させるかを十分に勘案し、製作に臨むのは当然ですし、原作とまったく同じ展開の映画化だとつまらない、というのも正直なところです。
≪美しい星≫も父親役のリリーフランキーさんの怪演は必見ですし、原作にはない、主人公家族が≪宇宙人≫としての自我に覚醒するシーンなど映画化作品ならではの見どころもあり、十分に楽しめます。
小説にしろ漫画にしろ、すでに完成された作品を改めて映画として再構築する作業は思いのほか大変なことなんでしょうね。

【懐かしの映画原作本集】

映画原作本
映画化された有名小説作品の数々。≪人間失格≫、≪太陽の季節≫、≪ああ荒野≫、≪沈黙≫など
映画原作本
海外の映画化されたベストセラー小説やノベライズ小説。≪ジョーズ≫、≪ゴッドファーザー≫など。
映画原作本
映画化作品の珍品集。はたして帯に“映画化”と自慢げに書かれた≪プロメテウス・クライシス≫は映画化されたんでしょうか・・・?
映画原作本
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ハヤカワノベルズのシリーズは映画化作品の装丁が楽しいですね。






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