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誰にでも子どもの頃に読んで、強く印象に残っている本があると思います。
私の場合、ハーメン・メルビルの≪白鯨≫がそんな一冊。
小学生の頃の私にしてみれば、文学性とかそんな評価基準は当然なくて、ただ単に、巨大な白い鯨に闘いを挑む人間の物語という、当時ハマっていた怪獣映画の延長線上にある作品として楽しんでいたに過ぎなかったように思います。
白鯨
平凡社、世界名作全集(1959年初版)の≪白鯨≫と週刊少年マガジン1968年、35号から連載された劇画版≪白鯨≫

1956年に製作されたジョン・ヒューストン監督の映画化作品≪白鯨≫は、小説を読んだほぼ同時期にテレビ放送で観たのが最初かな。
エイハブ船長を演じたグレゴリー・ペックが“大根”過ぎるとか、そのグレゴリー・ペック自身が、≪ジョーズ≫の劇中で≪白鯨≫のワンシーンを使用したいというスティーヴン・スピルバーグ監督の申し出を「あまり出来の良い作品ではないから」という理由で断ったとか、兎角ネガティヴな印象がつきまとう≪白鯨≫だけど、小学生の私には十分エキサイティングな作品でしたね。
同じくテレビ放送で観た、ジュール・ベルヌの有名小説の映画化作品≪海底二万里≫とのコンボ技で、海洋アドベンチャー、動物パニックというジャンル映画が大好物という、私の素地を作った1本じゃないかな、と。
その≪白鯨≫をハーマン・メルビルが執筆するきっかけになった実話をベースに製作されたというのが昨年公開された≪白鯨との闘い≫。
白鯨との闘い
観たくてたまらなかったクセに出不精故にタイミングを逃して劇場鑑賞が叶わなかった≪白鯨との闘い≫が先日、めでたくWOWOWで初放送。ってんで早速観ましたとも。
監督は、≪バックドラフト≫、≪アポロ13≫のロン・ハワード。
物語は、鯨油が貴重な資源だった1800年代初頭、南米大陸から3700キロメートル離れた海域で、狡猾、獰猛な白い鯨と捕鯨船が熾烈な闘いを繰り広げるアクションアドベンチャー・・・と思っていたんだけど、そんな分かり易い作品では無かったんだな、これが。
もちろん、白鯨と人間の闘いのシーンはCGを駆使したド迫力で、グレゴリー・ペックが巨大なドラム缶で作られた白鯨に跨り銛を突き立てていたジョン・ヒューストン監督版≪白鯨≫の比じゃない。もう見応え充分。んで、劇場で観なかったことを後悔・・・
白鯨との闘い
結局、主人公の一等航海士等数人は、白鯨との闘いで沈没した捕鯨船を捨て、90日間、小さなボートで大海原を漂流することになるのだけれど・・・待っていたのは、そう・・・猛烈な飢餓。
この映画、ハーマン・メルビルの新作執筆のための取材に生存者が応じるカタチで物語が展開するのですが、この生存者、なかなか自分が体験した出来事を語ろうとはしない・・・
“なにもったいぶってんだよ”とイライラするなかれ・・・語れない理由はその猛烈な飢餓状態からどうやって生還したかという部分にあるわけで、生存者には奇跡の生還を誇らしく語ることのできない理由があったというわけです。
白鯨との闘い
生きるための資源を求めて鯨の殺戮を繰り返す人間が、大自然に放り出され、やがては自らの肉体を生きるための資源として提供せざる得なくなる悲劇・・・とでもいったところでしょうか。

このての人間対動物モノの映画で重要なのは、人間の敵となる動物の描き方ですね。
ステロタイプではありますが、動物とは思えない知能の高さを演出することで、その動物の恐ろしさが一層際立つというわけです。
≪白鯨との闘い≫は実際にあった出来事というのがふれこみですが、鯨に劇中で描かれているような知的な行動が本当に出来たのかは疑問ではあります。
しかしながら、無感情な瞳で人間を計画的かつ執拗に追い回す白い鯨の存在感は圧巻でしたね。

実話ベースの人間対動物の映画で、私の大好きな作品をもうひとつ挙げるならば1996年製作、スティーヴン・ホプキンス監督の≪ゴースト&ダークネス≫です。
ゴースト&ダークネス
マイケル・ダグラスとヴァル・キルマーが主演を務めるこの作品に登場するのは、メチャクチャ頭のいいライオン。それも2頭。
このライオン、頭がいいだけではなく、ライオンの習性とは思えない残虐性・・・すなわち食するために獲物(主に人間)を殺害するのではなく、ただ殺したいから殺すというサイコキラーな性質をもっている突然変異種なわけです。
1898年、アフリカで実際にあった出来事として描かれていますが、確か過去に≪ブワナの悪魔≫というタイトルで映画化されており、≪ゴースト&ダークネス≫はそのリメイクと記憶しています。
鉄道開発事業を進めるためにアフリカを訪れたイギリスの鉄道建設技師が体験する恐怖譚なのですが、この映画に登場するライオンは本当に恐ろしい。
人間の寝込みやちょっとした隙をついて襲撃、脚をかみ砕き逃げられないようしてから皮膚を剥ぎとるなど、楽しみながら獲物を殺戮するという異常性や住み処の洞窟に散乱する夥しい数の人骨など、およそ実話とは思えない描写に背筋が凍りつきます。
ゴースト&ダークネス
テンポの良い飽きさせない展開といい、登場人物の描き方といい、凶悪なんだけど神秘性をたたえたライオンの存在感といい、実に良く出来たお話だなと思ったら、脚本はウィリアム・ゴールドマン。
≪明日に向かって撃て!≫、≪ミザリー≫、そして私のトラウマ映画の一本≪マラソンマン≫を手がけた名脚本家でした。
なお、本作で描かれたライオンの剥製は、シカゴ博物館に展示されているそうです。
ゴースト&ダークネス
映画の凶悪なイメージとはかけ離れた風貌のシカゴ博物館の“サイコキラー”ライオン。
ゴースト&ダークネス
ゴースト&ダークネス
被害者130人以上とも言われるライオン襲撃事件は、2頭のライオンの射殺で幕を閉じました。

実話ベースのこのての作品では、1764年から1767年にかけて、フランスのジョヴォーダン地方で100人以上の人間を殺害した未確認生物を描いた≪ジョヴォーダンの獣≫もお勧めです。









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