back to TOP

admin |  RSS
映画作品のコミカライズについては、もう少し関係書籍を収集し、いろいろと調べてからと思っていました。
が・・・
一向に集まりません。
全く調査がはかどりません。
収集は、近年発行されたものであれば比較的容易に入手できるのですが、映画作品のコミカライズの歴史は古く、1950年代から1970年代頃までのものとなると、なかなか入手が難しい。
ネットオークションへの出品もほとんどありませんし、出品されても開始価格ですでに予算オーバーだったり(笑)・・・こまめに古本屋を訪ね歩いたりもしていますが思うようには入手が叶いません。
加えて、調査しようにもこの分野を研究した書籍も無く、いよいよ壁にぶち当たった・・・
んなわけで、「えいっ!やぁ~っ!」と止む無く、見切り発車(笑)。
今回から数回、連載形式で映画作品のコミカライズについて書きたいと思います。

まずはじめに、映画作品のコミカライズと一概に言っても、実は2つに大別されるんじゃないかと思います。
大別の基準は、そのコミカライズ作品が、新作映画のロードショー公開にタイミングを合わせて発表されたものなのか否かということ。
これが意外と重要だったりします。

秋田書店が1970年代に月刊・別冊・増刊の《少年チャンピオン》や《プレイコミック》に掲載したコミカライズ作品などは、正に新作映画のロードショー公開にタイミングを合わせたもの。この方式だと、当該映画の製作(配給)会社には、これから公開する映画がPRできるというメリットが、漫画本の出版社には“新作映画が漫画で楽しめる”という付加価値による販売促進のメリットが発生し、相互の利害関係は一致したと思われます。
劇画ロードショー
でも、原則、エンディングを含むストーリーの全容を明らかにしてしまうのがこのてのコミカライズ作品。
映画製作(配給)会社にしてみれば逆効果のリスクも伴うため、映画鑑賞前にオチを知られちゃあマズい映画の場合は、“続きは劇場で・・・”という展開で終えざる得ない作品も中にはありました。
加えて、新作映画のロードショー公開に合わせて雑誌に掲載するため、漫画家さんへの試写も行われず、シナリオや原作本を頼りに慌ただしくコミカライズ化の作業が行われていたであろうと推測される作品も存在します。
即ち、作品のクオリティに少なからず影響する幾多の困難がこれらのコミカライズ作品にはあったと考えられます。

一方で、映画のロードショー公開からある程度の期間を経て出版されたコミカライズ作品もあります。
この場合、コミカライズされる映画は、興行成績の良かった人気作品あるいは名作として確固たる評価を得た作品が多く、公開からある程度の期間を経ても、コミカライズの需要があったと考えられます。
これらのコミカライズにおいては、すでに映画のロードショー公開が終了していることからも、映画製作(配給)会社に際立ったメリットはなく、やはり雑誌出版社の発信による企画かな、と思います。
映画のロードショー公開のタイミングに囚われることなく、じっくりとコミカライズにかかるリサーチ作業を経て出版されたであろうこれらの作品には読み応えのあるものが多く、総体的なコミカライズ作品のクオリティという観点では、こちらの作品群に軍配が上がるのではないでしょうか。
だが、しかし・・・中には、映画のロードショー公開のタイミングではないものの、当該映画の公開中、それも公開1カ月目なんていう中途半端なタイミングで発表されたものもあったりします。
これが、ただ単に諸般の事情でロードショー公開のタイミングに間に合わなかっただけなのか、それとも観客動員が中弛みするあたりを意図的に狙ったものなのか・・・残念ながら私には知る由もありません。ともすれば先述のロードショー公開にタイミングを合わせることによって生ずるコミカライズ作品のクオリティに影響する問題点の解消策としてとられた策なのかも知れませんね。

以上、映画作品のコミカライズを2つに大別させていただきました。
そして、私は、前者の新作映画のロードショー公開にタイミングを合わせて発表された作品群を、一般的に認知されている呼称を用いて《劇画(あるいは誌上)ロードショー》作品とし、後者の作品群を《名作映画コミカライズ》作品に分類させていただき、ロードショー公開途中に発表されたものも当該映画にかかる調査環境が整った環境下でのコミカライズだったと推測できますので後者に含みたいと思います。
すいません・・・前置きをくどくどと・・・(笑)

それでは、《映画コミカライズ作品大全集!》の第1回目。
《名作映画コミカライズ》邦画編と参りましょう。

■日本初の映画作品のコミカライズとは?
ネットやら《まんだらけZENBU》やらで調べました。でも・・・はっきりとしたことは分かりませんでした(笑)。
ただ、私が調べたなかで最も古かったのは、《少年クラブ》の1955年(昭和30年)3月号の別冊付録として公表された《ゴジラ》でした。
映画 コミカライズ
《少年クラブ》1955年(昭和30年)3月号の別冊付録《ゴジラ》の復刻本収録の≪漫画コレクション1954-58 ゴジラ≫(2014年/小学館)

《少年クラブ》1955年(昭和30年)3月号の別冊付録《ゴジラ》のコミカライズを手がけたのは《猿飛佐助》などの代表作をもつ杉浦茂さん。
映画 コミカライズ

実は《ゴジラ》は、1954年(昭和29年)11月3日のロードショー公開前に《おもしろブック》の同年10月号、11月号の連載という形式で《科学冒険絵ものがたり ゴジラ》が公表されています。
映画 コミカライズ
《おもしろブック》1954(昭和29年)年10月号《科学冒険絵ものがたり ゴジラ》の復刻本収録の≪漫画コレクション1954-58 ゴジラ≫(2014年/小学館)

しかしながらこの連載は、香山滋さんの原作小説に阿部和助さんが挿絵を入れたもの。
正に表題どおりの絵ものがたりであり、コミカライズと呼ぶには抵抗があります。
このようなノヴェライズ(小説)と挿絵(あるいは映画のスチール写真)を組み合わせたタイプのものは、《ゴジラ》以前にも1950年(昭和25年)日本公開のゲーリー・クーパー主演映画《ヨーク軍曹》などに見られますので1950年代にはすでにあったスタイルなんでしょうね。
で、漫画の体裁ということであれば、やはり杉浦茂さんの《ゴジラ》なのです。
《ゴジラ》のみならず怪獣映画のコミカライズ作品はとても多く、1958年(昭和33年)に《少年クラブ》で発表された《続ゴジラ アンギラスの逆襲》や《少年ブック》1967年(昭和41年)1月号で発表された《大怪獣ガッパ/大魔神逆襲/ガメラ対バルゴン 》などなど、映画作品コミカライズ化の背景には、日本の高度成長期における少年漫画誌の売り上げの向上という背景があったのではないでしょうか。
映画 コミカライズ
1958年(昭和33年)《少年クラブ》で発表された《続ゴジラ アンギラスの逆襲》。≪漫画コレクション1954-58 ゴジラ≫(2014年/小学館)より。

少年漫画誌で発表された怪獣映画のコミカライズ作品の数々。(いずれも≪まんだらけZENBU≫より)
映画 コミカライズ
映画 コミカライズ
映画 コミカライズ
映画 コミカライズ
映画 コミカライズ
また、多額の製作費を要する特撮映画の製作が可能になったことによる映画作品の多様化や若年層世代にアプローチする映画製作姿勢へのシフトなどが映画作品コミカライズ化の黎明期に大きく影響したのではないでしょうか。

ただ、少年漫画誌で発表されたコミカライズ作品は、子ども向けに内容や登場人物を改変しているものが多かったのも事実。
私が所蔵してる≪少年≫1958年(昭和33年)2月号の別冊付録≪地球防衛軍≫も、主人公を少年に改め、セリフなどもコミカルで分かり易くするなどのアレンジが加えられています。
映画 コミカライズ
1957年(昭和32年)12月28日に公開された≪地球防衛軍≫は翌年、コミカライズされました。
映画 コミカライズ
映画 コミカライズ

“おとなも満足できる、映画に忠実かつ劇画タッチのコミカライズが読みたい!”
漫画ファンのそんな願いが満たされるのは、映画作品のコミカライズ化黎明期の1950年代からおよそ20年後の1970年になってからのことなのです。                                                                (つづく)

関連記事
スポンサーサイト
COMMENT FORM
URL:
comment:
password:
Trackback
トラックバックURL: http://hrex.blog.fc2.com/tb.php/107-d7ba4125
Template by :FRAZ