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古書マニア必見の映画(らしい)≪ビブリア古書堂の事件手帖≫を観ました。
映像作品としては少し物足りなさを感じるクオリティーだったものの、これまで古書店のガラスケース越しにしか見たことのない稀覯本の数々が整然と書棚に並んだり、無造作に平積みされてたりする光景はやっぱ垂涎モンでしたね。
鎌倉の古式ゆかしい街並みや、歴史と風格をたたえたビブリア古書堂の佇まいも魅力的です。
ビブリア古書堂
簡単にストーリーを紹介すると・・・
太宰治の最初の小説集で、「死なうと思ってゐた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられてゐた。これは夏に着る着物であらう。夏まで生きてゐようと思った。」という衝撃的な書き出しで有名な≪晩年≫の初版本を手に入れようとする古書収集家のサイコパスと、その≪晩年≫を所有する古書店オーナーのサスペンスフルな攻防ミステリーといったところでしょうか。
たかが古本と言うなかれ。劇中に登場するのは、昭和11年(太宰治 28歳)、≪砂子屋書房≫から限定500部で出版された≪晩年≫の初版本で、本文用紙の上( 天)の部分がアンカットとなっているもの。読者はこの部分をペーパーナイフなどで切り取って読むという、これまたマニアックなシロモノなわけです。
劇中では、これに加えて太宰治直筆の署名本ときた・・・・
平成7年に京都で開催された古書組合全連大市会に≪晩年≫の帯付、アンカット極美本が出品された際には約300万円で落札されたといいますから、映画の中のお話とは言うものの直筆署名本となると、一体どんだけの価値があるのか・・・あな恐ろしや・・・
晩年 復刻版
太宰治≪晩年≫。本物?・・・まさか。復刻版です(笑)。付属のペーパーナイフでページを切り取りながら読み進めます。

前述したとおり、映画≪ビブリア古書堂の事件手帖≫は、物語的にややご都合主義的な要素があって私としては少し物足りなさを感じたのですが、主演の黒木華さんが魅力的だったのですべて許せちゃうわけです。
この女優さん、本当に素晴らしいです。
今年上半期いち推しのテレビドラマ≪凪のお暇≫や、(私としては)昨年公開の邦画でベスト1だった中島哲也監督作品の≪来る≫での演技力の高さには本当に驚きました。
来る 黒木華
可愛過ぎる≪凪のお暇≫の黒木華さん。

来る 黒木華
ダークサイドに堕ちた≪来る≫の黒木華さん。

失礼な言い方になりますが、和風かつ古風なお顔立ちは、日本の伝統芸能の能で使用されるお面を彷彿させます。
能面は感情を排した顔立ち故にすべての微細な感情表現を可能にする・・・そんな純白のキャンバスに様々な色彩で感情を描く・・・といった印象を黒木華さんの演技には感じるんです。
ややもすると、役者さんの演技において、振り幅の大きいダイレクトな感情表現が好まれる(評価される)きらいがありますが、例えば「白」から「赤」にダイレクトに変化するよりも、「白」から「薄いピンク」、そして徐々に「赤」へと微細なグラデーションを経て移行するような感情表現のほうが圧倒的に演技手法的に難易度が高いように思われます。
≪凪のお暇≫でみせた、「人たらし」な男に翻弄され心がくるくると定まらない虚ろな様や、≪来る≫でみせた徐々に心が荒んでいきながらも母親としてのアイデンティティーを保持し続けようと葛藤する様には、深層的に微細に変化する感情の“グラデーション”が巧みに表現されていて、他の追随を許さない“凄み”を感じましたね。

そういえば、≪来る≫について、以前、本ブログでは澤村伊智さんの原作本について書いたきりで、映画化作品に触れるのを失念しておりました。(笑)
来る
中島哲也監督作品≪来る≫は、黒沢清監督が定めた定義でいえば、“異界のモノが現世に入り込み、浸食、破壊する”物語であるため、歴とした≪怪奇映画≫なのですが、日本映画的な湿り気のある情感を極力排除した作風や、異界の怪物に対して多種多様な能力を持つ人間が一丸となって立ち向かう展開、荒唐無稽な物語ながら合理性を追求することで死守したリアリティ、そして黒木華さんを筆頭とする魅力的な演者さんたちの見応えのある演技等々を勘案するに、≪シン・ゴジラ≫に近いスタンスで製作された日本映画屈指の≪怪奇映画≫という印象を受けました。

話題を変えて。
先頃、大好きな童話作家、宮澤賢治ゆかりの地を訪ねて盛岡に行って参りました。
宮澤賢治生誕の地である花巻には、過去に何度も足を運んでいますので、今回は盛岡市内、材木町の≪光原社≫です。
盛岡市 光原社
≪光原社≫は大正13年(1924年)、宮澤賢治の生前唯一の童話集≪注文の多い料理店≫を発刊した出版社で、その社名も賢治の手によって名づけられました。
盛岡市 光原社
現在、≪光原社≫は手仕事の一品を集めた工芸品店となっており、周辺には有名な喫茶店≪可否館≫やお洒落なショップが立ち並ぶ小路があります。
盛岡市 材木町

盛岡市 光原社

盛岡市 光原社

盛岡市 材木町

盛岡市 可否舎
≪可否館≫で美味しい珈琲をいただき、周辺の雑貨屋さんなどを巡って、帰りしな材木町のメインストリートを歩いていたら≪村定楽器店≫というお店が・・・普通のCDショップという佇まいなのですが、何か私のアンテナに「ビビッ!」とくるものが・・・
そこで入店してみると、商品棚に並んだDVD、ブルーレイといった映像ソフトがマニアック!
一般的なこのてのショップさんでは置いていないような作品ばかりがずらりと並んだ商品棚は圧巻でした。
イギリスのハマープロダクションなんかの往年のSF・怪奇映画や知名度こそ低いが知る人ぞ知る名作、佳作・・・そしてB級作品のオンパレード・・・お店のご主人のこだわりがぎっしりと詰まったお店でした。
これだから旅先でのサブカル関連のショップ巡りは止められませんね(笑)。
レアDVD
あれこれ迷った挙句、購入したのがこの2作品。伝説のスリラー映画≪バニーレークは行方不明≫とハマープロのSF映画≪怪獣ウラン≫

最近、読んで面白かった書籍のご紹介。
読書
まずは、≪壇蜜日記≫。
壇蜜さんのパブリックイメージである“エロさ”が、自虐性、類まれな人間観察力、そして知性に裏打ちされた鋼(はがね)の“エロさ”であることを思い知らせる一冊です。(なんじゃそりゃ・・・)

≪奇跡の本屋をつくりたい≫は、札幌市の≪くすみ書房≫の店主、久住邦晴さんが同書店の存続のために奮闘する日記形式のノンフィクション。
久住さんは、肺がんを患い、一昨年、66歳で他界しましたが、ちくま学芸文庫などの売れない文庫ばかりを集めた≪売れない文庫フェア≫の創案やブックカフェの併設など、死の直前まで資金繰りを含む書店存続のための対策に四苦八苦する姿が描かれており、胸を打ちます。活字中毒者の身としては、改めて、“印刷物としての書籍”を“地元の書店で購入”することの大切さを痛感しました。

≪セゾン 堤清二が見た未来≫は、最近読んだ書籍のなかでは最高に面白い一冊でした。
1970年代から80年代のサブカルチャーに思い入れのある者にとって堤清二という人物は、寺山修司、横尾忠則、イエローマジックオーケストラなどと同じくらい重要な人物として記憶されています。
堤清二は、≪無印良品≫、≪ロフト≫、≪パルコ≫、≪ファミリーマート≫等々を生み出したセゾングループの代表という顔のほか作家としての顔を持ち、1990年代初頭のバブル経済崩壊までの間、池袋や渋谷などの“街づくり”に主眼を置いた経営戦略を貫きました。
“経済的豊かさよりも文化的豊かさ”を重視するその経営理念により、渋谷はサブカルチャーの発信地となり、80年代を象徴する「東京一は世界一」ということばの基盤にセゾングループが展開する文化事業があったことは間違いありません。
本州最北の地方都市に住む私でさえ、当時のセゾングループの勢力は、≪宝島≫や≪ビックリハウス≫などの雑誌を通じて体感していましたし、渋谷≪WAVE≫が取り扱う先鋭的アーティストのレコード収集や≪無印良品≫に囲まれたハイセンス(死語)な生活を楽しんだ思い出があります。
バブル経済の崩壊とともに経営難に陥ったセゾングループは≪無印良品≫、≪ロフト≫、≪パルコ≫、≪ファミリーマート≫などの解体を図り、これらの経営はセゾングループの手を離れますが、先頃オープンした“新生” パルコが、“オリジナル”パルコ同様に、劇場やミニシアターを内包する文化施設としての要素を併せ持つことはもとより、昨今の若者文化の根底に高額なブランド品よりも低額で質の良い商品を選択する傾向(≪無印良品≫や≪ロフト≫のコンセプト)があることを勘案すると、堤清二の未来を見据えた戦略は今なお脈々と受け継がれているのでしょうね。

最後に・・・最近の古本屋さんでの掘り出し品を。
ところは弘前市の≪小山古書店≫。
床に大量に平積みされた書籍のなかに紛れていたのがイアン・ワトソンの≪オルガスマシン≫。
オルガスマシン
イアン・ワトソンはイギリスの作家ですが、本国イギリスでは、内容のあまりの過激さ故に出版を見送られたといういわくつきの作品が≪オルガスマシン≫なのです。なぜか日本では、世界に先駆けてコアマガジン社から2001年に出版されましたが、現在は絶版(・・・のはず)で、背表紙を見とめたときには「え・・・マジ?」と自分の目を疑った私なのです。(笑)
内容は、男性の性欲を満たすために開発された≪カスタムメイドガール≫を描いたサイバーポルノ。
このての作品では沼正三の≪家畜人ヤプー≫が有名ですが、負けず劣らず過激な一冊です。
オルガスマシン
≪オルガスマシン≫には、なぜか≪カスタムメイドガール≫の過激なグラビアや・・・・
オルガスマシン
美術家の横尾忠則さんのヌードグラビアが・・・・

重ね重ね、これだから、サブカル関連のショップ巡りは止められませんね(笑)。
古書コレクション
我が家の書棚は飽和状態ですけど・・・

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