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ゴールデンウィークも後半です。
連休前半は天候にも恵まれましたので、≪観桜会≫100周年に沸く弘前公園に行って参りました。
弘前桜まつり
弘前桜まつり
≪観桜会≫って言葉、いまの若いひとには馴染みのない言葉でしょうね。
今じゃあ誰もそんな言葉使いませんが、私たちが子どもの頃は、桜まつりのことを≪観桜会≫と言ったものです。
もっとも父親に『来週、≪カンウォーカイ≫行くぞ!』と言われたところで、子どもの頃の私には“・・・≪カンウォーカイ≫ってなに・・・?”だったんですけど(笑)。
≪カンウォーカイ≫を文字にすると≪観桜会≫だと知ったのは、かなり年齢を重ねてからですね。
弘前桜まつり

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先日、NHKの≪ファミリーヒストリー≫という番組でミュージシャンの坂本龍一さんの家系を取り上げましたが、坂本龍一さんのお父上、一亀(かずき)さんのエピソードに驚きました。
龍一さんのお父上は出版社の仕事を通じて新人作家の発掘に努め、昭和20年代当時、大蔵省の官僚をしながら執筆活動をしていた三島由紀夫に≪假面の告白≫を書かせ、文壇デビューさせるなど、日本文学界に多大な貢献をした方だったのです。
そう言えば、1912年に沈没したタイタニック号の日本人唯一の生存者が、やはりミュージシャンの細野晴臣さんのお祖父様ですし、イエローマジックオーケストラって家系的にも凄いメンバーで構成されてたバンドだったんだな、と妙に感動しちゃいました。

三島由紀夫
≪假面の告白≫の初版本には、確かに編集者名として坂本一亀の御名前が。
三島由紀夫

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本日5月4日は、あおもりが生んだ鬼才、寺山修司の命日です。
寺山修司
寺山が中学1年まで過ごし、現在、≪寺山修司記念館≫がある三沢市では、没後35年の≪修司忌≫での献花や様々な企画のイベントが行われたようですね。
寺山修司
寺山修司記念館(三沢市三沢字淋代平116-2955)

寺山修司は、1983年、47歳でその人生に幕を引くまで、詩、短歌、俳句、小説、テレビドラマの脚本などの執筆のほか、歌謡曲の作詞、演劇や映画の製作等々、ジャンルを超越した創作活動を目まぐるしく展開し昭和の時代を駆け抜けたマルチクリエーター。
あまりにも多くのジャンルにわたる作品を遺したため、寺山修司ワールドへの“入り口”はたくさんありますが、ファンの多くは詩や短歌、演劇あたりから入って、どんどん寺山修司ワールドの深みにハマってしまった、というひとが多いようです。
実は私が寺山修司にハマったのはここ2年ほど前から。
それまでは全く興味が無かった・・・というより、正直あまり好きじゃなかった。
津軽弁の訛りを隠そうともせずに難解な言葉を早口に捲し立てる生前の取材映像や見世物小屋のオドロオドロシイ世界観で構築された演劇作品のイメージが先行して“これは自分の趣味じゃないな”と。
そんな私の寺山修司ワールドの“入り口”となったのはグラフィックアート。
寺山が主宰した劇団≪天井桟敷≫の上演ポスターや彼の出版物のグラフィックデザインに魅了されたんです。
1960年代から70年代辺りの寺山の周辺には、横尾忠則をはじめ、宇野亜喜良や和田誠、粟津潔等々の優れたグラフィックデザイナーがいて、純粋にそういった方々が手掛ける装丁本が欲しくて寺山修司の書籍などを買い集めたのがきっかけですから、寺山修司自身の作品に魅了されたというわけではないのです。
寺山修司
横尾忠則さんが手がけた≪天井桟敷≫関連のポスター
寺山修司 宇野亜喜良
宇野亜喜良さんの作品集と寺山修司著作≪絵本・千一夜物語≫の装丁
寺山修司
寺山の映画作品≪田園に死す≫のポスター

寺山に対する私の最初の興味は、あまりにトリッキーなその人物像です。
自伝本≪誰か故郷を想はざる≫に書かれたフェイクな生い立ちや、数ある有名作品の模倣、自らの作品のリブートなど、とかく寺山の人格や作品に対する批判として語られる事柄の数々が妙に新鮮に感じられた、というか、それこそがサブカルチャーの存在意義に貪欲だった≪昭和≫という時代を象徴しているようにさえ思えたんですね。
1996年に出版されたノンフィクション・ライター、田澤拓也さんの≪虚人 寺山修司伝≫などの書籍では、そういった寺山の人格や作品が厳しく批判されているのですが、私は人間の記憶なんてものは例外なく自分に都合の好いように加工されるものだと思うし、そのことを前提として、面白味に欠く己の人生をフェイクで塗り固める作家性みたいなものは、受け手として純粋に楽しんじゃえば良い、というスタンスですね。
有名作品の模倣だって、山下達郎の≪クリスマス・イヴ≫がクラッシックの名曲、パッヘルベルの≪カノン≫コードの流用だからダメとか、アンディ・ウォーホルのシルク・スクリーン作品はマリリン・モンローの既存のポートレイトに着色しただけだからダメとか、何だったら、いま時のロックミュージックは既成曲をサンプリングしてるからオリジナリティの欠片も無いなんて、言うだけ無粋なだけで・・・それらの作品に芸術作品の一点主義にもとづく神格化や “オリジナリティとは何ぞや?”、といった問題提起が通底しているのであれば、それらは表現手法のひとつの“カタチ”と考えてもいいのかな・・・なんて。
寺山修司
寺山の作品のなかでも“奇書”と言われる≪地獄篇 限定版≫は、1970年7月、思潮社から限定500部で発行。
限定版の仕様は、函入で、蝋燭・火縄・押し花・粟津潔木版画封入。寺山の直筆署名入り

そういう意味合いも含めて、『職業は寺山修司です』と嘯き、生涯トリックスターを演じ、有名作品のリミックスや自らの作品のリブートを嬉々としてやり続け、観客参加型の演劇やらメディアミックス的手法やら、次々と奇抜なアイディアに満ちた創作活動をやり続けた寺山修司は、戦後の急激な経済的発展や諸外国との関係性に翻弄される日本人のこころの拠りどころとなったサブカルチャーの発展に貢献した、≪昭和≫の時代を象徴する文化人の一人であることは否定できないと思います。
そして没後35年を経てなお、寺山が生みだした数々の作品は色褪せないどころか、先頃も菅田将暉主演で映画化された≪あゝ荒野≫を例にとるまでもなく、21世紀を生きる現代人のこころの渇望を刺激し続ける稀有なクリエイターなんだと思います。
寺山修司



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