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グラインドハウス映画発掘報告の第3回は、いま話題の≪シン・ゴジラ≫の系譜と言えそうな2本の怪獣映画と参りましょう。
1本目は1996年公開の≪ガメラ2 レギオン襲来≫です。
ガメラ2 レギオン襲来
≪ガメラ2 レギオン襲来≫のビデオソフトと公開時パンフ・・・は見つけられなかったので前作≪ガメラ 大怪獣空中決戦≫のパンフで・・・

昭和の時代に大ヒット作品を飛ばしたガメラシリーズの平成復活版の第2弾として製作されたのが本作です。
監督は、平成ガメラシリーズ第1弾≪ガメラ 大怪獣空中決戦≫に引き続き、金子修介さん。
特技監督は≪シン・ゴジラ≫の監督・特技監督を務めた樋口真嗣さん。
そして本作で最も評価すべき脚本を手がけたのは≪GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊≫や≪機動警察パトレイバー≫などの伝説的アニメ映画の脚本を手がけた伊藤和典さんです。≪シン・ゴジラ≫の総監督・脚本などを手がけた庵野秀明さんといい、アニメ映画から実写映画に進出したクリエイターがいま、卓越した構成力による脚本により日本の怪獣映画のクオリティ向上に貢献しているのは確かなようです。
ちなみに≪ガメラ2 レギオン襲来≫は、映画として初めて、この年の日本SF大賞(星雲賞映画演劇部門・メディア部門賞)を受賞したことでも話題になりました。

≪ガメラ2 レギオン襲来≫は画期的な怪獣映画として私の記憶に焼き付いているのですが、この度観直し、改めて平成の怪獣映画のすべてが≪ガメラ2 レギオン襲来≫以前・以後で括れるほどに重要な作品であることを痛感しましたね。
2014年公開のハリウッド版≪ゴジラ≫も然り・・・っていうか私には物語の展開やあの敵怪獣の造形に至るまで≪ガメラ2 レギオン襲来≫の焼き直しにしか思えないほどです。
かの≪シン・ゴジラ≫でさえ、≪ガメラ2 レギオン襲来≫を観ると、“そうか、あのリアリズムを追求した作風の元ネタはここにあったんだ”と納得してしまいます。
日本国憲法への言及や巨大不明生物出現にかかる自衛隊の対処のあり方、巨大・密集化した都市が抱える防災問題等々への考証に加え、SF映画としての堅実な科学的説得力、NTT職員や青少年科学館職員といった異例の職業を主役に据え、それぞれのキャラクターを活かした見せ場を設定するなどホント脚本が見事です。
そういえば、≪シン・ゴジラ≫の数ある名場面のなかでも特に私のお気に入りなのは、陸上自衛隊の10式戦車が高速で走行しながら遠方にいるゴジラに砲弾を連射するシーンなんですが、実はこれに似たシーンも≪ガメラ2 レギオン襲来≫にはすでにあって、飛来したガメラが地上に着地し、高速で横滑りするなか、体勢を保持しながら火炎放射を口中から連射するんです。横移動しながら攻撃を打ち出すという構図的な格好良さに両作ともに鳥肌が立ちましたね。

ガメラ2 レギオン襲来

なにはともあれ、≪ガメラ2  レギオン襲来≫は都市破壊や2大怪獣の対決といったスぺクタキュラーな見どころも満載ですが、何といってもフェミニズム全開の金子監督が主演の水野美紀さんをメチャクチャ可愛く(若い!)、その健康美に溢れた美脚を執拗に強調して撮ってくれてますので「≪シン・ゴジラ≫、面白かったけどお色気がちょっと足りなかったね・・・」って方には尚更お勧めかなと(笑)。
ガメラ2 レギオン襲来
今のオジサンキャラのお姉さんが信じられないほどにチャーミングな水野美紀さん。

≪シン・ゴジラ≫の流れを汲むもう1本は2001年公開の≪ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃≫です。
ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃
実はこれもまた、≪ガメラ2 レギオン襲来≫同様、金子監督の作品です。
こうしてみると、やっぱり金子修介監督は、平成の怪獣映画を語るうえで避けて通ることはできないかな、と。
≪ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃≫は、1954年の初代ゴジラの出現以降、日本には怪獣の出現がないまま50年が経過し、日本の防衛組織として≪防衛隊≫が存在する仮想日本を舞台にしています。
本作の3年前の1998年に公開されたハリウッド版≪ゴジラ≫に映画冒頭で言及するシーンがありますが、そのセリフが笑える。
「先頃、米国に出現したのがゴジラだとは日本の学者は認めておりません」って・・・「学者」の部分をいろいろと入れ替えてみたくはなりますが(苦笑)。
≪ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃≫のゴジラは、太平洋戦争戦死者の残存思念の集合体、破壊の“神”として描かれています。そしてそのゴジラと対決するバラゴン、キングギドラ、モスラは日本(と言っても国ではなく、自然環境らしい)を護る神話上の護国怪獣として描かれています。
数あるゴジラ映画のなかでもとりわけ初代ゴジラを意識して製作されたといえる本作は、初代ゴジラでも意識的に描かれていた、怪獣という災いによって命を失う人間の姿が、再び執拗に描かれたという点でも少しばかり他作品とは異質なゴジラ映画と言えます。
ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃
山の頂上から見切るゴジラもまた、初代ゴジラのモチーフ?

そういえば≪シン・ゴジラ≫は都市破壊を徹底的なリアリティで描きながらも、それによって人の命が失われる直接的表現が意外なほどに少ないのが印象的でした。
≪シン・ゴジラ≫が、あの≪3.11≫をモチーフにしており、あの日起こった数々の悲劇の再現的映像で構成される作品である以上、人の死というリアリティはあえて避けるべきとの配慮や製作方針があったのかも知れませんね。
ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃

≪ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃≫の特徴と言えるのは、ゴジラの放射熱線によって沸き上がるキノコ雲や特攻精神でゴジラ退治に臨む防衛隊員など、多分に初代ゴジラのモチーフを踏襲しメッセージ性を打ち出そうとしている点かな。
・・・が、その割には放射能汚染にかかる描写に真摯さを欠き、やたらと“防人”の使命に執心する宇崎竜童演ずる准将が物語の流れのなかで空回りしてる感が否めませんが・・・
女優を撮らせたら天下一品(笑)の金子監督も本作主演の新山千春さんにはあまり魅力を感じなかったのでしょうか・・・ガメラシリーズの中山忍さんや水野美紀さん等はとても良かったのに新山千春さんはあまり魅力的に描けてなかったように思えます。
青森市出身の女優さんがゴジラ映画初主演というので、喜び勇んで映画館に駆けつけたのもいまとなっては良い思い出ですけど。
本作の≪シン・ゴジラ≫への系譜を語るならば、まずは恐怖感を強調したゴジラの造形ですね。
造型師の品田冬樹さんが手がけた本作のゴジラは白眼のため表情がなく、ただひたすら不気味。観客の一切の感情移入を拒絶し“破壊神”として君臨するゴジラの造型に拘ったという点でも、≪シン・ゴジラ≫に近いコンセプトで作られたゴジラと言えるのではないでしょうか。
また、倒したと思われたゴジラの細胞が再び静かに息づき始めるという、続編を予感させるラストカットも両作品に共通するところかな。
本作もやはり憲法や自国の防衛論、日米安保条約などに言及した、当時の世相を踏まえた作品ですし、先述のことばを引用するならば≪ガメラ2 レギオン襲来≫以降の怪獣映画と言えます。

平成のリアリティ重視の二つの怪獣映画を今回見比べてみたのですが、どちらも同じ監督なのに、ゴジラシリーズはリアリティを重視したシリアスな作風とは言え、少しばかりチャイルディッシュな印象は否めず、ガメラシリーズは大人の鑑賞にも十分に耐えうる作品作りのために徹底したリサーチ、検証作業に時間を費やして製作された、という印象を受けました。
もともとターゲットとする観客層が違うのでしょうね。
子どもの観客動員を強く意識した≪ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃≫の興行収益は27億1千万円。
対して大人の鑑賞に耐えうる作品を目指したであろう≪ガメラ2 レギオン襲来≫の興行収益は僅か7億円・・・
この数字をみても、子どもよりも大人が楽しめる作品として徹底的なリアリズムに徹し、重厚な人間ドラマを縦軸として製作された≪シン・ゴジラ≫の興行収益が60億円超えというのはホント奇跡的なことなんだと思います。



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≪シン・ゴジラ≫の公開から1カ月が経過しました。
興行収入も50億円(!)を超えたということで、怪獣映画ファンとしては嬉しい限りです。
やっぱりヒットしてくれなきゃ次回作は無いわけで、2014年公開のハリウッド版が大ヒットしただけに“やっぱ、ハリウッドには敵わないか・・・”という結末だけは避けたいですし。
何より≪シン・ゴジラ≫は、パニック映画としても人間ドラマとしても完成度の高い作品だと思いますから、それらが評価されての大ヒットとなれば他人ごとながら祝杯をあげたくなるというものです。
そんなわけで私の≪シン・ゴジラ≫熱はまだまだ冷めることはなく、リピート観賞のため再度劇場に足を運んだり(同じ映画を劇場でリピート観賞するのは約30年ぶりか?)、青森県田舎館村の≪田んぼアート≫に足を運んだり、≪シン・ゴジラ≫フィギュアのゲットのためにUFOキャッチャーやガシャポンにお金を注ぎ込んだりと、何かとゴジラに侵食された生活を送っているわけです。
田んぼアート シン・ゴジラ
田舎館村の≪田んぼアート≫は、昨年が≪スターウォーズ フォースの覚醒≫、今年は≪シン・ゴジラ≫とのタイアップです。
で、その出来栄えは・・・?
田んぼアート シン・ゴジラ
凄い迫力です!年々作品のクオリティ上がってます。ゴジラの背後に放射線状に広がるのは例のアレか?
田んぼアート シン・ゴジラ
デカすぎて1枚に収まりません・・・泣く泣く2分割。

・・・んで、≪シン・ゴジラ≫で改めてゴジラに魅了された私の興味は、またまた初代≪ゴジラ≫に向けられるわけです。
小学生の頃、NHKで放送された1954年版の≪ゴジラ≫を初めて観たときの衝撃は相当だったし、“映画としての完成度では≪シン・ゴジラ≫の方が上かな・・・”なんてことを思いながらも、幼い私のこころに圧倒的な恐怖を植え付けた初代≪ゴジラ≫は、私にとって一生涯、払拭することの叶わない“トラウマ映画”であり、オールタイムベストムービーの1本でもあるのですから。
そこで奮発して手に入れたのがこの2冊。
実業之日本社が1954冊限定で1999年に発売した≪ゴジラ1954≫と国書刊行会が1984年に発売した≪ゴジラコレクション≫です。
ゴジラ本
≪ゴジラ1954≫は、豪華な赤いボックス仕様になっていて、この箱のなかには2冊の本が梱包されています。
1冊は1954年に公開された初代≪ゴジラ≫の完全資料集で、もう1冊は1954年に出版された≪ゴジラ≫の原作本≪怪獣ゴジラ≫の復刻本です。
ゴジラ1954
初代≪ゴジラ≫にかかる宣材やシナリオ、絵コンテなどを収録した資料集も素晴らしいのですが、なんと言っても今となっては入手困難な香山滋さんの原作本を復刻版とはいえコレクションに加えることができるのは嬉しい限りです。
ゴジラ1954
資料集も読みごたえあります。

もう1冊の≪ゴジラコレクション≫はゴジラ映画のポスター、プレスシートなどの復刻版を70点梱包したもの。
「いやぁ~懐かしいな~これ」ってなものから「ええっ?こんな宣材もあったんだ」ってなものまで入ってて、まるでゴジラ玉手箱(?)ってな感じですか。
いずれにしても、若い人ならいざ知れず、昭和のゴジラ映画を愛するオジサンにはたまらない2冊なんじゃないでしょうか。
ゴジラコレクション
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