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古書マニア必見の映画(らしい)≪ビブリア古書堂の事件手帖≫を観ました。
映像作品としては少し物足りなさを感じるクオリティーだったものの、これまで古書店のガラスケース越しにしか見たことのない稀覯本の数々が整然と書棚に並んだり、無造作に平積みされてたりする光景はやっぱ垂涎モンでしたね。
鎌倉の古式ゆかしい街並みや、歴史と風格をたたえたビブリア古書堂の佇まいも魅力的です。
ビブリア古書堂
簡単にストーリーを紹介すると・・・
太宰治の最初の小説集で、「死なうと思ってゐた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられてゐた。これは夏に着る着物であらう。夏まで生きてゐようと思った。」という衝撃的な書き出しで有名な≪晩年≫の初版本を手に入れようとする古書収集家のサイコパスと、その≪晩年≫を所有する古書店オーナーのサスペンスフルな攻防ミステリーといったところでしょうか。
たかが古本と言うなかれ。劇中に登場するのは、昭和11年(太宰治 28歳)、≪砂子屋書房≫から限定500部で出版された≪晩年≫の初版本で、本文用紙の上( 天)の部分がアンカットとなっているもの。読者はこの部分をペーパーナイフなどで切り取って読むという、これまたマニアックなシロモノなわけです。
劇中では、これに加えて太宰治直筆の署名本ときた・・・・
平成7年に京都で開催された古書組合全連大市会に≪晩年≫の帯付、アンカット極美本が出品された際には約300万円で落札されたといいますから、映画の中のお話とは言うものの直筆署名本となると、一体どんだけの価値があるのか・・・あな恐ろしや・・・
晩年 復刻版
太宰治≪晩年≫。本物?・・・まさか。復刻版です(笑)。付属のペーパーナイフでページを切り取りながら読み進めます。

前述したとおり、映画≪ビブリア古書堂の事件手帖≫は、物語的にややご都合主義的な要素があって私としては少し物足りなさを感じたのですが、主演の黒木華さんが魅力的だったのですべて許せちゃうわけです。
この女優さん、本当に素晴らしいです。
今年上半期いち推しのテレビドラマ≪凪のお暇≫や、(私としては)昨年公開の邦画でベスト1だった中島哲也監督作品の≪来る≫での演技力の高さには本当に驚きました。
来る 黒木華
可愛過ぎる≪凪のお暇≫の黒木華さん。

来る 黒木華
ダークサイドに堕ちた≪来る≫の黒木華さん。

失礼な言い方になりますが、和風かつ古風なお顔立ちは、日本の伝統芸能の能で使用されるお面を彷彿させます。
能面は感情を排した顔立ち故にすべての微細な感情表現を可能にする・・・そんな純白のキャンバスに様々な色彩で感情を描く・・・といった印象を黒木華さんの演技には感じるんです。
ややもすると、役者さんの演技において、振り幅の大きいダイレクトな感情表現が好まれる(評価される)きらいがありますが、例えば「白」から「赤」にダイレクトに変化するよりも、「白」から「薄いピンク」、そして徐々に「赤」へと微細なグラデーションを経て移行するような感情表現のほうが圧倒的に演技手法的に難易度が高いように思われます。
≪凪のお暇≫でみせた、「人たらし」な男に翻弄され心がくるくると定まらない虚ろな様や、≪来る≫でみせた徐々に心が荒んでいきながらも母親としてのアイデンティティーを保持し続けようと葛藤する様には、深層的に微細に変化する感情の“グラデーション”が巧みに表現されていて、他の追随を許さない“凄み”を感じましたね。

そういえば、≪来る≫について、以前、本ブログでは澤村伊智さんの原作本について書いたきりで、映画化作品に触れるのを失念しておりました。(笑)
来る
中島哲也監督作品≪来る≫は、黒沢清監督が定めた定義でいえば、“異界のモノが現世に入り込み、浸食、破壊する”物語であるため、歴とした≪怪奇映画≫なのですが、日本映画的な湿り気のある情感を極力排除した作風や、異界の怪物に対して多種多様な能力を持つ人間が一丸となって立ち向かう展開、荒唐無稽な物語ながら合理性を追求することで死守したリアリティ、そして黒木華さんを筆頭とする魅力的な演者さんたちの見応えのある演技等々を勘案するに、≪シン・ゴジラ≫に近いスタンスで製作された日本映画屈指の≪怪奇映画≫という印象を受けました。

話題を変えて。
先頃、大好きな童話作家、宮澤賢治ゆかりの地を訪ねて盛岡に行って参りました。
宮澤賢治生誕の地である花巻には、過去に何度も足を運んでいますので、今回は盛岡市内、材木町の≪光原社≫です。
盛岡市 光原社
≪光原社≫は大正13年(1924年)、宮澤賢治の生前唯一の童話集≪注文の多い料理店≫を発刊した出版社で、その社名も賢治の手によって名づけられました。
盛岡市 光原社
現在、≪光原社≫は手仕事の一品を集めた工芸品店となっており、周辺には有名な喫茶店≪可否館≫やお洒落なショップが立ち並ぶ小路があります。
盛岡市 材木町

盛岡市 光原社

盛岡市 光原社

盛岡市 材木町

盛岡市 可否舎
≪可否館≫で美味しい珈琲をいただき、周辺の雑貨屋さんなどを巡って、帰りしな材木町のメインストリートを歩いていたら≪村定楽器店≫というお店が・・・普通のCDショップという佇まいなのですが、何か私のアンテナに「ビビッ!」とくるものが・・・
そこで入店してみると、商品棚に並んだDVD、ブルーレイといった映像ソフトがマニアック!
一般的なこのてのショップさんでは置いていないような作品ばかりがずらりと並んだ商品棚は圧巻でした。
イギリスのハマープロダクションなんかの往年のSF・怪奇映画や知名度こそ低いが知る人ぞ知る名作、佳作・・・そしてB級作品のオンパレード・・・お店のご主人のこだわりがぎっしりと詰まったお店でした。
これだから旅先でのサブカル関連のショップ巡りは止められませんね(笑)。
レアDVD
あれこれ迷った挙句、購入したのがこの2作品。伝説のスリラー映画≪バニーレークは行方不明≫とハマープロのSF映画≪怪獣ウラン≫

最近、読んで面白かった書籍のご紹介。
読書
まずは、≪壇蜜日記≫。
壇蜜さんのパブリックイメージである“エロさ”が、自虐性、類まれな人間観察力、そして知性に裏打ちされた鋼(はがね)の“エロさ”であることを思い知らせる一冊です。(なんじゃそりゃ・・・)

≪奇跡の本屋をつくりたい≫は、札幌市の≪くすみ書房≫の店主、久住邦晴さんが同書店の存続のために奮闘する日記形式のノンフィクション。
久住さんは、肺がんを患い、一昨年、66歳で他界しましたが、ちくま学芸文庫などの売れない文庫ばかりを集めた≪売れない文庫フェア≫の創案やブックカフェの併設など、死の直前まで資金繰りを含む書店存続のための対策に四苦八苦する姿が描かれており、胸を打ちます。活字中毒者の身としては、改めて、“印刷物としての書籍”を“地元の書店で購入”することの大切さを痛感しました。

≪セゾン 堤清二が見た未来≫は、最近読んだ書籍のなかでは最高に面白い一冊でした。
1970年代から80年代のサブカルチャーに思い入れのある者にとって堤清二という人物は、寺山修司、横尾忠則、イエローマジックオーケストラなどと同じくらい重要な人物として記憶されています。
堤清二は、≪無印良品≫、≪ロフト≫、≪パルコ≫、≪ファミリーマート≫等々を生み出したセゾングループの代表という顔のほか作家としての顔を持ち、1990年代初頭のバブル経済崩壊までの間、池袋や渋谷などの“街づくり”に主眼を置いた経営戦略を貫きました。
“経済的豊かさよりも文化的豊かさ”を重視するその経営理念により、渋谷はサブカルチャーの発信地となり、80年代を象徴する「東京一は世界一」ということばの基盤にセゾングループが展開する文化事業があったことは間違いありません。
本州最北の地方都市に住む私でさえ、当時のセゾングループの勢力は、≪宝島≫や≪ビックリハウス≫などの雑誌を通じて体感していましたし、渋谷≪WAVE≫が取り扱う先鋭的アーティストのレコード収集や≪無印良品≫に囲まれたハイセンス(死語)な生活を楽しんだ思い出があります。
バブル経済の崩壊とともに経営難に陥ったセゾングループは≪無印良品≫、≪ロフト≫、≪パルコ≫、≪ファミリーマート≫などの解体を図り、これらの経営はセゾングループの手を離れますが、先頃オープンした“新生” パルコが、“オリジナル”パルコ同様に、劇場やミニシアターを内包する文化施設としての要素を併せ持つことはもとより、昨今の若者文化の根底に高額なブランド品よりも低額で質の良い商品を選択する傾向(≪無印良品≫や≪ロフト≫のコンセプト)があることを勘案すると、堤清二の未来を見据えた戦略は今なお脈々と受け継がれているのでしょうね。

最後に・・・最近の古本屋さんでの掘り出し品を。
ところは弘前市の≪小山古書店≫。
床に大量に平積みされた書籍のなかに紛れていたのがイアン・ワトソンの≪オルガスマシン≫。
オルガスマシン
イアン・ワトソンはイギリスの作家ですが、本国イギリスでは、内容のあまりの過激さ故に出版を見送られたといういわくつきの作品が≪オルガスマシン≫なのです。なぜか日本では、世界に先駆けてコアマガジン社から2001年に出版されましたが、現在は絶版(・・・のはず)で、背表紙を見とめたときには「え・・・マジ?」と自分の目を疑った私なのです。(笑)
内容は、男性の性欲を満たすために開発された≪カスタムメイドガール≫を描いたサイバーポルノ。
このての作品では沼正三の≪家畜人ヤプー≫が有名ですが、負けず劣らず過激な一冊です。
オルガスマシン
≪オルガスマシン≫には、なぜか≪カスタムメイドガール≫の過激なグラビアや・・・・
オルガスマシン
美術家の横尾忠則さんのヌードグラビアが・・・・

重ね重ね、これだから、サブカル関連のショップ巡りは止められませんね(笑)。
古書コレクション
我が家の書棚は飽和状態ですけど・・・

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マーベルにしろDCにしろアメリカンコミックの映画化作品には食傷気味の私。
アベンジャーズシリーズも、数多のヒーローが集結し物語が壮大になるにつれ気持ちも萎えちゃって・・・近頃はすっかりごぶさたなわけです(笑)。
そんな私ですが、現在公開中の≪ジョーカー≫には、何か一連のアメリカンコミックスの映画化作品とは異質なものを感じ、早々と劇場に足を運んだというわけ。
ジョーカー
数多の芸能人、著名人等がそのクオリティーを絶賛する一方で、現実社会における犯罪助長の影響力が懸念された≪ジョーカー≫ですが・・・・確かに。素晴らしいクオリティー。そして凄まじい作品でした。
言うまでも無く≪ジョーカー≫は、≪バットマン≫シリーズのスピンオフ作品ですので、後にバットマンとしてゴッサムシティの治安を守る(幼少時の)ブルース・ウェインとの邂逅や、バットマン(=ウェイン家)に対する宿痾(しゅくあ)とも言える憎悪に言及しますが、そんな辻褄合わせがどうでも良くなるほどに自立し、完結した優れた作品だと感じました。
本作の映画評なんかでは、もともとは善良で小心者の大道芸人アーサーフレックが犯罪に手を染めざる得なくなったその悲劇性が強調されているようですが、私は寧ろ、たび重なる不運の連鎖を糧に稀代の犯罪者としての資質に開眼していくという19世紀イタリアの犯罪人類学者ロンブローゾが提唱した≪生来性犯罪者説≫とか、“親殺し”により成立する、アイデンティティや未来への指針といったフロイトが提唱したエディプスコンプレックスなど、時代錯誤故に妙に禍々しく背筋を逆なでする“引用”にしてやられた感がありましたね。
ネタバレになるから多くは書けませんが、間違いなく本作はバイオレンス映画の名作≪タクシードライバー≫の影響下にあり、監督のトッド・フィリップスは、(本作のクライマックスでもある)ロバート・デ・ニーロ(トラヴィス)とホアキン・フェニックス(アーサー)が対峙するシーンが撮りたくて堪らなかったんじゃないでしょうか(笑)。
そしてそのシーンで描かれるトラヴィスとアーサーのダークヒーロー(世代)交代劇に、監督自身のエディプスコンプレックスを読み取るのは深読みし過ぎなのかな。
にしても、その表現手法の秀逸さに思わず唸っちゃったのがエンディングですね。
収監された精神病棟内を逃げ回るジョーカーを看守が追いまわすシーン。
まるでスラップスティツクコメディーのようにバタバタと廊下を右往左往するジョーカーと看守の姿は、まるで≪トム&ジェリー≫。
『人生は悲劇?それとも喜劇?』
その自問自答に確固たる回答を得たジョーカーを体現した秀逸なエンディングだったと思います。

今月は、もう一作品。
クエンティン・タランティーノ監督の≪ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド≫も観ました。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
≪ジョーカー≫に負けず劣らず・・・っていうか、あちらは登場人物の妄想劇でしたが、こちらは監督自身の妄想がてんこ盛りの作品(笑)でした。
にしても、タランティーノらしくないと言うか・・・やたらと理屈っぽく簡単に投げ飛ばされるブルース・リーや愚痴をこぼしてばっかりのスティーブ・マックイーンなんて、以前のタラちゃんだったら決して描かなかったような・・・何があったタラちゃん!
『映画って本来“神の視点(三人称)”で描かれるものじゃん。だから監督って神様そのものじゃん』って思ったかどうかはともかく、猟奇犯罪によって非業の死を遂げたシャロン・テートの命も救っちゃうタラちゃんの“上から目線”がなんか気になる作品ではありました。

映画の話題はここまで。
最近、読んだ本でお勧めなのはこの三冊。
蔵書
ムック≪危険な読書≫は、≪ブルータス≫の特別編集号で、様々な視点による書籍紹介がされていて書籍マニアにはお勧めの一冊。
≪孤客≫は以前、本ブログで紹介した怪奇幻想まんが≪人間時計≫の作者、徳南晴一郎氏の自伝本。生真面目を超越した偏執性に恐れを抱きながらも妙な感動が・・・
≪みちのくの人形たち≫は映画化された≪楢山節考≫の原作者、深沢七郎の短編集で、表題作は東北の寒村に伝わる風習が哀しく恐ろしい。

最後は、以前から欲しくてたまらなかったクロニクル社の≪ケイン≫。
ケイン
≪ケイン≫は、SFバイオレンス映画≪ロボコップ2≫に登場するロボットで、これまでに立体化された商品としては、ガレージキットと食玩のみ。
劇中の≪ケイン≫を造形、モデルアニメートしたフィル・ティペットの監修により、数年前、米国クロニクル社が決定版ともいえるフィギュアを発売しましたが、高額に加えて世界限定1000体故に入手は諦めていました。
それがこの度、ご縁があり、正規販売価格よりは相当安価で我が家に。
当初期待した金属製ではなかったのが残念ですが、重量感、存在感ともに申し分無く、台座にはフィル・ティペットのサインが。
家宝として珍重したい逸品です。








気づけばもう秋。
ワケあって3カ月ほどブログの更新をお休みしてました。
ブログの更新は滞っていたのですが、私自身はこの3カ月間、比較的アクティヴな毎日を送っておりました。
いま流行りのDIYってやつですか・・・慣れない日曜大工に励んだりして、数十年ぶりに真っ黒に日焼けして家族に笑われたりしてます。
あおもりのこの3カ月を振り返ると、6月は太宰治生誕110年の関連イベントが太宰の生まれ故郷、五所川原市金木町などで開催され県内外の太宰ファンで賑わいましたね。
太宰治
太宰治
6月と太宰治の関連性は、太宰の誕生日は6月19日で、昭和23年の同日(!)に玉川上水で入水自殺した太宰の遺体が発見されたことから、この日を太宰の小説≪桜桃≫に因んで≪桜桃忌≫と呼んでいるというわけです。
私も数十年ぶりに同町の≪斜陽館≫を見学して参りました。
斜陽館
言うまでも無く≪斜陽館≫は太宰治の生家で、太宰の父親である明治の大地主、津島源右衛門が建築した入母屋造りの建物です。戦後、津島家が手放した≪斜陽館≫はしばらく旅館として利用されましたが、現在は同町の観光施設として運営されています。
和洋折衷、荘厳な造りの建物ですが、太宰自身はこの家を、『父は、ひどく大きい家を建てた。風情も何も無い、ただ大きいのである。』と作品中で書いており、当時、貧しい農家が多い環境のなかに不釣り合いに大きく鎮座する我が家を富や権力のネガティヴな象徴と捉え、彼の人格形成に少なからず影響を与えたモニュメントのような意味合いもある建物です。
斜陽館
斜陽館
斜陽館
斜陽館
斜陽館
≪斜陽館≫内の売店で自分へのお土産に≪津軽≫の装丁まんまのノートと缶バッジを購入しました。
斜陽館
太宰治の初版本コレクションです。私のベストは≪津軽≫です。登場する土地が身近なところばかりで愛着が持てますし、太宰のユーモアセンスが愛おしい。
太宰治

7月は、私的には大事件だったのですが、2009年に急逝したロックバンド≪フジファブリック≫のフロントマン、志村正彦さんの関連商品が続々とリリースされました。
特に2009年にリリースされた≪CHRONICLE≫の楽曲をメインにしたツアー映像が商品化されたのが嬉しくて嬉しくて。
7月10日が志村さんの誕生日であり、亡くなってから10年という節目もあっての企画だと思いますが、まさか、生前最後のライヴ映像までも観れる日が来るとは思わなかった。
フジファブリック
赤い大きなBOXが7月に発売された≪FABBOXⅢ≫。白い箱は過去に販売された≪FABBOX≫のⅠとⅡ。

併せて生前、志村さんが熱望していたという人気音楽番組≪ミュージック・ステーション≫への≪フジファブリック≫初出演の夢も叶い、披露されたのが作詞、作曲ともに志村さんが手がけた名曲≪若者のすべて≫となれば、もうファンとしては歓喜の涙が絶えることのない7月だったわけです。

志村さんが眠る山梨県富士吉田市、太宰治が眠る東京三鷹市≪禅林寺≫、寺山修司が眠る≪高尾霊園≫は一度、訪れてみたいと常々思っています。(・・・にしても、あおもり出身の太宰、寺山の御墓が青森県内に無いというのはとても残念ですね・・・)

で、8月のあおもりと言えば、言うまでも無く≪ねぶた祭り≫なんですが、アニメファンたちで大きく盛り上がったのは≪エヴァンゲリオン展≫でしたね。
エヴァンゲリオンはもとより、アニメ作品への造詣に疎い私ですが、そこは毎朝、楽しく観ているNHKのテレビ小説≪なつぞら≫からの付け焼刃なアニメ作品制作のプロセスを予備知識にこの特別展を楽しんで参りました(笑)。
エヴァンゲリオン展
エヴァンゲリオン展
≪エヴァンゲリオン≫ねぶたも会場に展示されました。(ちょっとメタボ体型のエヴァですが・・・)
エヴァンゲリオン展
この特別展、全国主要都市ではかなり前に開催された企画の巡回ですからとりわけ目新しさはないのでしょうが、青森会場ならではの限定商品がとにかくユニークで、物販コーナーは大賑わいでしたね。
特に人気が高かったのが、エヴァンゲリオンの登場人物の名セリフを津軽弁にアレンジした缶バッジ。
入荷とともに即完売で、私も入手できませんでした(泣)。

エヴァンゲリオン展
青森会場限定の≪エヴァンゲリオン≫カラー仕様≪金魚ねぷた≫はゲット出来ました。
エヴァンゲリオン展

まあ、この3カ月間の私的なニューストピックスをまとめるとこんな感じかな。

相変わらず、重度の活字中毒者の私は本を買いまくりーの、読みまくりーのな状況なのですが、最近、ずば抜けて面白かった本が≪戦後最大の偽書事件 東日流(つがる)外三郡誌≫ですね。
東日流外三郡誌
≪東日流外三郡誌≫は、青森県五所川原市在住の和田喜八郎(故人)が、自宅改築中に「天井裏から落ちてきた」古文書として1970年代に登場し、数百冊にのぼるとされるその膨大な文書は、古代の津軽地方にはヤマト王権から弾圧された民族の文明が栄えていたと主張しています。
が、しかし、これらの古文書をはじめとする関連資料はねつ造された可能性が高く、これらを新しい学説として支持する者と真実を追求する者の長年にわたる闘いが描かれたノンフィクションが≪戦後最大の偽書事件 東日流(つがる)外三郡誌≫です。
私も東北人として、大和朝廷に対抗した豪族が津軽を中心とした東北に存在したという歴史には胸躍るものがあります。
やはり日本建立の歴史は西日本中心でしか明らかにされていませんし、古くから何かと軽視されがちな東北地方の文化や政治といった歴史を思うと、この学説は自分たちのアイデンティティーに訴えかける強い力をもっていることも否めません。
このねつ造事件の背景には、こういった東北人特有の己の存在意義への切実な追求心があるようにも思えます。

最後に恒例の映画ポスターコレクションを。
SF映画ポスター
≪ミクロの決死圏≫は初上映時(1966年)のものです。
何度もリバイバル上映されている本作ですが、恐らく、初上映時のポスターは右下にクローズアップされた目に着色が入っている
かと。
≪アンドロメダ≫も大好きなSF映画。原作は≪ジュラシック・パーク≫、≪ウエスト・ワールド≫などの代表作を手がけたマイケル・クライトン。宇宙から飛来した病原菌と科学者の闘いを描いた知的なSF作品です。

5月31日に全米と日本の同時公開でお披露目されたレジェンダリー・ピクチャーズ製作の≪ゴジラ キング・オブ・モンスターズ≫が好調な興行成績のようで嬉しい限りです。
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
私も公開初日に観て参りました。
made in japanの怪獣映画を同一世界観のクロスオーバー作品として描くシリーズの第2段となるわけですが、前作≪ゴジラ GODZILLA≫は、(私的には)面白かったのですが、何かしっくりこない印象を受けたのも事実。
敵対する怪獣ムートー中心に物語が進行するため肝心のゴジラの存在感がいまひとつだったりとか、怪獣映画の名作≪ガメラ2 レギオン襲来≫をベースにしたであろうストーリー展開にも新味がないとか・・・
続編の≪ゴジラ キング・オブ・モンスターズ≫には、キングギドラ、モスラ、ラドンといった東宝怪獣映画のスタメンが勢揃いするらしいという前情報にも、1954年公開の初代≪ゴジラ≫や2016年公開の≪シン・ゴジラ≫をゴジラ映画の二大最高傑作と信じて疑わない私にしてみれば、「レジェンダリー・ピクチャーズ版ゴジラも結局はお子ちゃま路線に行っちゃうってことでしょ・・・」と正直がっかりしていたわけです。
・・・が、しかし≪ゴジラ キング・オブ・モンスターズ≫は面白かった。それも底抜けに。
なぜか突然に、次々と怪獣が地球上に現れる原因こそ、やっぱり平成ガメラシリーズの論理を踏襲して辻褄合わせをしているのだけれど、そういった理屈っぽい台詞主体のシーンを極力排除し、対戦型怪獣映画のスぺクタキュラーな見せ場の目白押しで全編を貫いた製作姿勢は大正解だったと思います。
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
往年の怪獣映画ファンの涙腺を刺激する過去作品へのオマージュも満載。
初代ゴジラを葬った新型化学兵器≪オキシジェン・デストロイヤー≫も登場するし、1956年公開の≪空の大怪獣ラドン≫で阿蘇山の噴火火口に散ったラドンはメキシコの火山口から溶岩にまみれて登場!
そして、モスラが羽化するシーンでは、あのザ・ピーナッツが演じ歌ったモスラのテーマソングのフレーズが!
このシーン、子どもの頃の感情が蘇ってきてマジで泣きました。本当に・・・
米軍と怪獣の攻防も迫力満点。ゴジラの後方を雲霞のごとき戦闘機が追従するシーンの格好良さには鳥肌が立ちましたね。
ただちょっとオスプレイを格好良く描き過ぎかな・・・まあ、本作には米軍も協力していることだろうし、日本に対するオスプレイの安全性アピールにはこれとないチャンスだろうが、そこは騙されんぞ・・・なんてね。(苦笑)
そんな映画のプロパガンダの側面はともかく、ハリウッド映画では、人類を救うべく自らの命を犠牲にして見せ場と観客の涙をかっさらっていく美味しい役どころは米国人俳優に与えられるのが常ですが、≪ゴジラ キング・オブ・モンスターズ≫では、前作にも出演したあの日本の名優に委ねられてます。
これぞ、怪獣映画発祥国、日本に対するハリウッドからの最高の敬意と受け取ろうじゃないですか。
(そういえば、メキシコ、中国で産声をあげたラドンとモスラがアメリカで大暴れって何か国際問題を風刺してるような・・・大っきな壁作ったってラドンの入国は防げないし、経済戦争繰り広げているうちにもっと大きな脅威(=キングギドラ)に対峙することになるってことかな?)
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
映画館のガシャポンで入手したゴジラのフィギュアです。≪シン・ゴジラ≫と2種ゲットしました。

あ、そういえば、ゴジラ繋がりでもうひとつ。
先日、秋田県の男鹿半島までドライヴに行って参りました。
男鹿半島
男鹿半島の≪なまはげ≫は、2018年、ユネスコ無形文化遺産に選ばれました。おめでとう!秋田県。

果てしなく眼下に広がる日本海・・・入道崎は絶景なり。
男鹿半島 入道崎

・・・と、不思議な看板を見かけました。
男鹿半島 入道崎
何でも入道崎周辺では頻繁にUFOが目撃されているらしく、お食事処≪みさき会館≫では、出没したUFOの動画が観賞できるのだそうです。
なぜ、宇宙人は男鹿半島を頻繁に訪れているのでしょうか・・・?
恐らくその理由は男鹿半島の有名な観光スポット・・・≪ゴジラ岩≫にあります。
男鹿半島 ゴジラ岩
男鹿半島 ゴジラ岩
手前の岩山にピントを合わせてみると、ゴジラ岩の巨大感と臨場感が増します。
男鹿半島 ゴジラ岩
日本海の荒波や風雪などの自然環境の産物とは言え、正にゴジラ!

入道崎に現れるUFOにはキラアク星人が搭乗しており、ゴジラを特殊な電波で操縦することで世界征服を企んでいるのだ・・・って1968年公開の東宝映画≪怪獣総進撃≫を知らないひとには何のこっちゃですよね(苦笑)。
キラアク星人
小学生の私は≪キラアク星人≫のお姉さん方に何かエロいものを感じていました。(笑)

≪ゴジラ キング・オブ・モンスターズ≫は、世界各国に怪獣が出没したり、特殊な電波で怪獣を操る設定なんかをみると、ベースにしているのは≪怪獣総進撃≫であることは間違いありませんね。

私の最近のコレクション事情を最後に。
映画原作本で新たにコレクションに加わったのはこの5冊。
映画原作本
澁澤龍彦が翻訳したエロティック映画≪O嬢の物語≫の映画化カバー版が入手できたのは嬉しかった。≪モヒカン族の最後≫はマイケル・マン監督作品≪ラスト オブ モヒカン≫(1993年公開)の原作本。

最近、収集に熱が入っている映画ポスターはこの4枚。
映画ポスターコレクション
≪ウエストワールド≫は、最近アメリカでテレビドラマ化もされたマイケル・クライトン原作のSF映画で、このアートデザインが秀逸です。そして≪サンバーン≫は映画自体はつまらないのですが、主演のファラ・フォーセット・メジャースのこのナイスバディに当時の中坊は悩殺されました。
映画ポスターコレクション
B級映画のポスターは大好物。≪大火災≫はアーネスト・ボーグナイン主演のパニック映画。≪グリズリー≫は≪ジョーズ≫の大ヒットにあやかった二匹目のドジョウ狙い映画なんですが、意外と面白かった。これまた著名なイラストレーターが手がけたアートデザインが格好良く、ペプシコーラとのコラボレーションというのも異色です。

新元号の≪令和≫の典拠、≪万葉集≫が売れまくっているようですね。
どこの本屋さんも売れ切れ状態とのことで、元号改定による経済効果が新刊書店に波及していることは嬉しい限りです。
と言うのも、あおもりではつい先ごろ、数少ない大手新刊書店≪紀伊國屋≫の弘前店が今年5月6日で閉店するという衝撃的なニュースが駆け巡ったばかり。
常日頃、“本屋(新刊本・古本)、映画館、CD(レコード)ショップの無い街には住めない”と豪語(笑)している私なんかは、劣悪化の一途を辿るあおもりのサブカルチャー事情に懸念を深めているわけです。
かく言う私も最近は、新刊本より古本の購入比率が高く、≪紀伊國屋≫のあおもり撤退の責任の一端を痛感している次第。
「客ひとりの売上なんかたかが知れているんだから、そんなことに責任感じなくても・・・」なんてことを言うひともいますが、選挙の投票と一緒で、「自分ひとりの影響力なんて・・・」とは思いたくない、少しばかりクソ真面目でウザったい≪昭和≫生まれの性分の私なのであります。(泣)

確かに、電子図書なんかのコンテンツが一般化した昨今では、印刷物として流通する書籍は時代錯誤的でスマートじゃないのかも知れませんね。
でも、もうすぐ終焉を迎えようとしている≪平成≫以前の時代では、書籍は印刷物としての個性を主張することで人々の生活に寄り添い彩りを与えてきたことも事実だし、何ならクリエイターの創意工夫による“印刷物だからこそ可能な表現形態”を私たちは楽しんできたようにも思えます。
確かにテクノロジーの進歩によってもたらされる合理性とか効率性といった要素は避けがたい時代の潮流として受け入れざるを得ませんが、それによって失われつつある旧時代的な文化様式に思いを馳せ、その存在意義を改めて検証することも大切なように思えるのですが・・・

そんな思いもあって、今回のテーマは書籍収集のススメ。
まだまだ“ひよっこ”な書籍収集家の私ですが、奇々怪々な書籍コレクターの世界をお伝えいたしましょう。

書籍収集の世界は多分に細分化されていると言われています。
例えば文芸書の収集家と一概に言っても、収集の対象を時代や作家など、かなり狭めた範囲に限定して収集しているひとが多いようです。
ものの本によれば、≪明治≫時代の文芸書のコレクターは、≪大正≫時代以降の同種コレクターを軽視しているきらいがあり、その収集世界も独特の競争原理が働いていて、シロウトが簡単に入り込めるようなものではないとのこと・・・あな恐ろしや・・・
そういう意味で、私なんかは取り立てて拘りなんかとは無縁な“ノンポリ(ノンポリシーの意味)”コレクターと言えます。
子どもの頃に欲しくても買えなかったジュヴナイルや児童書、大好きな作家の初版本、主に≪昭和≫の時代のサブカルチャー(映画、音楽等々)関連の書籍なんかを闇雲に収集しているといったところでしょうか。

書籍コレクターの世界で特に興味深いのが奇書・怪書コレクターってやつですね。
奇書・怪書というのは、先述した“印刷物だからこそ可能な表現形態”が暴走した出版物(笑)という要素も含めて、作品の世界観やらが常識では測り難い・・・すなわちぶっ飛んでいる書籍を指します。
奇書・怪書コレクターの多くが血眼になって探している代表的な書籍が、栗田 信の≪醗酵人間≫でしょう。
醗酵人間
どうです?・・・このオドロオドロシイ装丁・・・
昭和33年に出版され、戦後最大のSF怪作と言われる≪醗酵人間≫はまずもって中古市場に出回ることはなく、以前、ヤフーオークションに出品されたときには、40万円で落札されたというシロモノ。
私も生きている間に一度は現物を目にしてみたいと思っていますが、恐らく無理でしょうね。(笑)
なお≪醗酵人間≫は近年、≪ミステリ珍本全集≫の一冊として戎光祥出版から再版され、こちらは私も所有していますが、どうせなら、装丁も含めて復刻して欲しかった・・・装丁ありきの≪醗酵人間≫なんですから。
醗酵人間
≪ミステリ珍本全集 醗酵人間≫と≪醗酵人間≫の再評価に貢献した名著≪SF奇書天外≫。

以前、本ブログでも紹介した寺山修司の≪地獄篇 限定版≫は、蝋燭・火縄・押し花・粟津潔の木版画が封入された異色の出版(印刷)物。代表的な奇書と言えます。
寺山修司

他にも変わりダネの書籍としては・・・ちょっとスケベなこの2冊(笑)。
奇書
≪アカリ号の実験≫という書籍は、“男女11人が孤立した船上で生活したらどうなる・・・?”というノンフィクションものなんですが、エロさを期待したらガッカリしちゃう内容です。
≪あたしのプーペ≫は何てことの無いエロ小説なんですが、数枚のイラストカードと赤いセロファンが付録になっています。このセロファンをイラストカードに重ねると見えなかったものが見えるというトリックアート的大人の世界が・・・
奇書
恐らくは、グラビア雑誌の“袋とじ”企画の元ネタかと・・・(違うか・・・)。

ちょっと真面目路線に軌道修正!
この2冊は、かつて早川書房から出版されたもので、画像右側の≪地獄の家≫は、1970年代のオカルト映画ブームを≪エクソシスト≫とともに牽引した≪ヘルハウス≫の原作本でもあります。
奇書
この2冊の共通点は、物語の後半部分が、正に“袋とじ”になっていて、この“袋とじ”を開かずに書店に返品すればお代はお返しいたします、というストーリーテリングに絶対の自信を持つ作品故の企画モノというわけです。
奇書
≪デラニーの悪霊≫の赤い“袋とじ”部分は未開封のまま・・・ということは返品されたものなんでしょうか?

ここからは、内容がぶっ飛んでいる故に奇書と言われているものを中心に。
特に有名なのがこの2作品。≪家畜人ヤプー≫と≪怪談 人間時計≫。
≪家畜人ヤプー≫は、かの三島由紀夫も絶賛したという沼正三の長編SF・SM小説。
奇書
≪怪談 人間時計≫は徳南晴一郎のカルト漫画で独特な世界観が衝撃的です。
人間時計
≪昭和≫の時代には、異色の漫画作品が溢れていましたね。特にムロタニ・ツネ象の≪地獄くん≫は、当時、小学生だった私には耐えられない恐さがありました。
昭和 漫画
耐えられない恐さと言えば、心霊写真をはじめ、UMA(未確認生物)や死後の世界まで幅広いジャンルで、当時の子どもたちを脅かし続けた中岡俊哉氏関連の出版物に触れないわけにはいきません。昭和42年に出版された≪世界の怪獣≫なんかは、宇宙から飛来した怪獣まで実話として紹介されてて相当に胡散臭かったのですが(笑)。
奇書
丸尾末広の一連の漫画はいま読み返しても不穏な気持ちにさせられる奇書と言えます。
独特の画風や世界観はエロチックで猟奇的。とりわけ江戸川乱歩の≪パノラマ島綺譚≫の劇画化作品は、石井輝男監督が昭和44年に映像化した乱歩作品≪恐怖奇形人間≫と対をなす怪作です。
奇書
奇書とは言えませんが、林静一の≪赤色エレジー≫は、映画的手法を漫画に取り入れた画期的な作品ですね。
赤色エレジー
林静一の≪赤色エレジー≫とあがた森魚の楽曲≪赤色エレジー≫のアナログシングル盤。
赤色エレジー
內田百閒の短編集≪冥途≫(芝書店版)と、代表作≪冥途≫を絵本化した書籍。
幻想的な金井田 英津子の挿絵が印象的で、印刷物としての書籍の素晴らしさを再認識させてくれる一冊です。
冥途
冥途

最後に奇書というより珍品を。
虹男
≪虹男≫は、昭和24年に大映が映画化したスリラー映画の原作本で、映画公開の2年前に矢貴書店から出版されました。
≪火星人との戦争≫は、なんと、昭和16年に出版されたHGウエルズの≪宇宙戦争≫の別タイトル版。
恐らくは、ジョージ・パルの映画化作品が昭和28年に日本公開されたのを機に、≪宇宙戦争≫というタイトルが定着したのでしょうね。
言うまでもなく≪宇宙戦争≫はスピルバーグも映画化した異星人侵略SF小説の最高傑作です。
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